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2006年2月14日 (火)

正式に自己破産申し立てた滋賀新聞

昨年9月の「みんなの滋賀新聞」事実上の廃刊の後、同11月に自己破産を申し立てる方針を示していた発行元の「みんなで作る新聞社」が、昨年12月28日、正式に自己破産を申し立てていた。申し立て事実を報じたのは今のところ滋賀報知1社のみのようで、記事は昨年12月の滋賀県内の倒産動向に絡める形で今月に入ってからの掲載。気付くのが遅れてしまった。

http://www.bcap.co.jp/s-hochi/n060205.html

自己破産の方針が示されたのが、昨年の11月7日。方針表明から1カ月半以上かかっているわけで、個人的には「やっとか」という思いだ。知人の弁護士に、今回の滋賀新聞の整理について昨年の11月半ばに意見を聞いたら、こういう答えが返ってきた。「私だったら間髪入れずに自己破産申し立てるケースだな。会社や受任した弁護士は、まず任意整理を行いできるだけ会社をキレイにしてから破産を申し立てる腹積もりだったのだろうが、労働債権を含めて関係者が多い滋賀新聞のようなケースでは、このような手法を取るのは実際上は難しい。債権者側から予期せぬ動きが出たり、債務者側のボロが必要以上に明るみに出て、結果的に債務者も債権者も傷が大きくなる」
結果はほぼこの弁護士の指摘通りになった。自己破産申し立て意向表明の直後から、一部債権者に優先的に債務を支払っていたこと(後に第三者の立替払いの形を取っていたことが判明)などが次々と露見、労働債権関係の対応をめぐる問題もあり、一部で「詐欺破産ほう助ではないのか」と弁護士の懲戒処分申立へ向けた動き(結局は申立には至らず)も出るなどした。大津市内で行われた株主説明会も紛糾し、中小株主から「法的手段により経営責任を追及する」という発言も飛び出したという。これらのほとぼりが覚めるのを待ち、目立ちにくい年末の御用納めの日を狙って申し立てたのではないだろうか。

ともあれ申し立てから1カ月以上が経過し、手続が順調に進んでいれば関係者への審尋も終わり破産宣告が出ているはずだが、一体どうなったのであろうか。倒産情報検索しても該当案件は出てこない。先ほど述べたように株主からの責任追及の動きにに加え、昨年12月の株主説明会で、金融機関などの大口債務を破産申し立てよりはるか以前の全社員を解雇した直後、第三者立て替えの形で弁済していることを会社側が認めたことなども影響しているのだろうか。

それにしても、滋賀新聞倒産に至る過程で最も不可解なのが金の行方だ。

滋賀新聞の資本金は4億1000万円。月額の赤字は私が入社して以降3000~3500万円程度で推移していた。資本金が温存されていれば1年間の赤字に耐えられる勘定だ。

ところが、実際には新聞が創刊する4月あたりで、すでに資金ショートが表面化している。破産宣告に先立ち弁済した金融機関からの借り入れは、この頃滋賀銀行から借り入れた8000万円のはず。見方を変えれば、創刊時点で資本金はほぼ枯渇していたことになる。その後も社長からのポケットマネーなどで辛うじて資金繰りを充足する事態が続いた。
システム投資に多額の費用がかかった(同規模のシステムから見て相場の倍近い価格だが)のは事実だが、それだけでは説明できない。公表されている有価証券報告書等の資料からも、早期に資金ショートを起こす内容は見当たらない。

そして資金繰りの致命傷になったのは、社長が自ら20億円と語った個人保証債務の存在が発覚したことだ。知人の経営する,マンション開発などを手掛ける会社の保証を被ったことは、株主説明会でも明らかになっている。保証を被った結果個人での資金調達も難しくなり、その結果廃刊という結論に至った。
この個人保証の件もよく考えれば疑問点がある。東証一部上場企業のトップが、いくら友人とはいえ、簡単に巨額の債務保証をするだろうか。自分の地位を考えれば、余りにもリスクが大きすぎる話だ。貸す方にしても、いくら創業社長とはいえ20億円もの保証を一個人に求めるものだろうか。何か裏のある話のような気もする。ちなみに滋賀新聞の専務は、件の不動産会社の取引銀行から派遣されてきた人物だが、それだけでは説明できないし、経営者の巨額の第三者への保証債務について、例のセンサーメーカーが積極的に開示しようとしないのはなぜか。事と次第によっては特別背任ものである。

トップの個人債務が露見して新聞の経営自体が行き詰まるのは、過去の「フクニチ」「北海タイムス」に代表されるように、この世界ではよくある話だ。いずれにせよ、破産手続きが終わり記録を閲覧できれば、滋賀新聞をめぐる金の流れに関する謎を解く突破口になるかもしれない。

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