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2006年2月23日 (木)

日本版オーマイ・ニュースは成功するか

韓国のネット新聞「オーマイニュース」が、ソフトバンクからの投資を受け日本に進出することが明らかになった。

http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200602220333.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/network/news/20060222org00m300095000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060222i312.htm

ソフトバンクのリリースによれば、同社の総投資額は約13億円。紙の新聞と違って、輪転機とか製作システムとかいった多額の初期投資を必要とする金物が少ないから、運転資金含めてもまあこんなものか。事業計画を見たわけではないが、市民記者に固定給払うわけではないだろうし。

「2ちゃんねる的」な色合いが強いものになるのか、公的なメディアとしての信頼を確立していくのか、はたまた東スポのような路線になるのか、現在では未知数だ。経営的に独立できるかどうかも疑問が残る。結局のところ、単なるヤフーのポータルサイト強化策の一環という気もするのだ。

ただ一つ確かなのは、ニュースソースの確保に苦労するだろうということ。

制度の是非とは違う次元で、日本の場合は記者クラブに籍を置いていないと、中央官庁やある程度以上の規模の企業・自治体から情報を得ることは難しいのが現実。政治・経済や司法はもちろん、スポーツ関連でも何らかの形で記者クラブに入っていないと、まともな取材ができないケースが多い。地方紙の多くが形だけ東阪の運動記者会や写真記者会に加盟しているのは、その資格を有していないと「取材お断り」になるケースがあまりにも多いからだ。

1次情報として既存メディアが報じた内容をを引用した場合、引用された側が見せしめ的な訴訟を仕掛けてくる公算も大きい。多くの新聞社がネット上の著作権のよりどころにしている、日本新聞協会の「ネットワーク上の著作権について」も改められ、より厳しいものになるだろう。

結果としてゲリラ的な取材手法を多用しなければいけないだろうが、トラブルが続出するのも想像に難くない。新たな形のメディア・スクラムが発生したり、現状では報道協定の縛りを受けないネット新聞の記者が誘拐犯人の「追跡生中継」を行い人質に危害が及ぶような、予期せぬ問題が発生する懸念も拭えない。市民記者の倫理教育は大丈夫なのか。フタを開けたらインサイダーの疑い次々と掛けられたり、いわゆるトップ屋みたいなのが横行する心配はないのか。

日本版「オーマイ・ニュース」が成功するかどうか、カギを握るのは質の良いデスクを確保し、また社内で育成できるかどうかだ。その日の「紙面」の方針を立てるのも、取材対象者とのトラブルがあった時にケツ持ちや面倒見の役割を果たすのも、デスクの大きな仕事。オーマイ・ニュースの場合、市民記者という訓練を受けていない人が取材の第一線に立つのだからなおさらだ。この部分を甘く見ていると、滋賀新聞の轍を踏むことになりかねない。

ともあれ、今回の日本上陸が壮大な実験場であることは間違いない。一見良さそうに見える「市民みんなが記者」というコンセプトだが、何かあった場合に現在のメディア以上に責任の所在があいまいになる恐れはないのか。情報発信側だけでなく、受け手側も大きな代償を払わなければいけない可能性があることは肝に銘じておきたい。

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で、ここからはチラシの裏。

先日このブログで取り上げた、復刊を断念した京都経済新聞(現在の本業はコンサルと社長個人が務める大学教員のようだが)が今後の路線として掲げている「シビックジャーナリズム」という理念、オーマイニュースが掲げる、「市民みんなが記者(Every citizen is a reporter)」というコンセプトとほとんど同じである。ちなみに、滋賀新聞へ「地域記者」を入れ知恵したのも京都経済社長のはず。

京都経済新聞、3月18日にはNHKのキャスターを招いてイベントをやるようだ。コンサル部門に、新聞業界紙でも報じられていない詳細不明の案件が1つある。ひょっとしたら…。

繰り返すが、この記事の点線以下の部分はチラシの裏であるのでよろしく。

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